心不全とは
心不全とは病名ではなくほとんどすべての心疾患の末期状態にみられる症候群の名称です。
心機能の低下により身体の組織が必要とするに見合う十分な血液を心臓が拍出できない状態をいいます。
心不全をきたす原因は一つではありません。心筋梗塞や心臓弁膜症など全ての心臓病はもちろん、例えば高血圧で長年心臓に負担がかかっている場合などでも、次第にその機能が落ち心不全の原因となります。
心機能は、心臓超音波検査(心エコー)で評価します。
症状としては、以下のような特徴があります。
心不全の分類
心臓機能のうちどの働きがどの程度低下しているのか、その低下が急に起こってきたのか(急性心不全)、徐々に起こってきたのか(慢性心不全)によって、心不全の種類や程度はさまざまに分類されます。 心不全は、臨床的に急性心不全と慢性心不全、左心不全と右心不全、低拍出量性心不全と高拍出量性心不全、収縮期心不全と拡張期心不全などに分類されます。 ここでは、治療上の立場から、急性心不全と慢性心不全とに分けます。
Ⅰ 急性心不全:
重症な場合が多く、精査・加療するための入院可能な病院へ迅速に搬送します。
Ⅱ 慢性心不全:
慢性心不全が急性に悪くなるほとんどの場合は、心機能が低下している状態の上に感染、虚血、不整脈(特に心房細動)、水分摂取過多、服薬中断などの誘因が加わって起こります。ときに非ステロイド性消炎鎮痛剤の投与により発症する例もあります。
慢性心不全の治療目標は、
①安静時の自覚症状を軽減すること、②運動耐容能を改善させ、運動時の自覚症状を軽減すること、③長期生命予後を改善することの3点です。
多くの場合、利尿剤は良好に反応します。