血圧とは
心臓は、ポンプの役割をしています。収縮と拡張を繰り返すことで、大動脈を通して全身の隅から隅まで血液を送り出しています。このとき、血液が心臓から勢いよく流れ出て、血管の壁にかかる圧力が血圧です。
血管が細くなったり、弾力性や柔軟性を失う(動脈硬化)と上昇します。
高血圧が続くと、心臓のポンプとしての働きに負担がかかり、心臓の肥大や機能の低下をまねきます。 また全身のいろいろな血管が動脈硬化を起こすことで、冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)、脳卒中(脳梗塞や脳出血)、閉塞性動脈硬化症(足の血管などが詰まる病気)などの心配が出てきます。
高血圧に対しては、できるだけ早く対処することが必要です。
心臓が最も強く収縮し、血管に最大の圧力がかかるときが収縮期(最高、最大)血圧です。逆に最も拡張したときが拡張期(最低、最小)血圧です。 血圧はいろいろな原因で上がったり下がったりします。 夏は低く冬は高いといった季節変動、同じ一日でも、起きて活動しているときは高く睡眠中は低くなるという日内変動もあります。 入浴は毛細血管が開いて血行がよくなるので血圧は下がりますし、お酒も血管が広がるので下がります。逆にアルコールの影響がきれる頃に急に上昇することもあります。
また、血圧は自律神経によってコントロールされるので、精神的な影響を受けやすく、緊張や興奮、ストレスでも変わります。病院で血圧を測る直前に一時的に高くなる人もいます。このため、家庭での血圧測定がとても大事になります。
家庭での血圧の一日の変化や毎日の変化なども参考にして、必要ならその人に一番あった薬をまずは少量から使います。 高い血圧を早めに下げるように対処し、家庭での血圧をみながら、飲み方を変更したり少しずつ減量したりします。 血圧が安定し上昇しなくなれば薬をやめることも可能です。
高血圧
高血圧の状態が続いていても、あまり強い症状を感じることはありませんが、この状態を放置していると、やがて全身にさまざまな障害が起こってきます。
最初に引き起こされる障害は動脈硬化です。高血圧によって動脈硬化が引き起こされると、血管の壁が厚くなり、血液の流れが悪くなってしまい、さらに高血圧がひどくなるという悪循環におちいってしまいます。
しかし、動脈硬化や高血圧が進行しても、やはり症状を感じにくいため、さらに障害が進み、さまざまな合併症につながることがあります。高血圧によって引き起こされる合併症は、命にかかわる重大なもの(心筋梗塞、脳出血、脳梗塞など)が多いため、高血圧は、「サイレント・キラー(沈黙の殺人者)」とも呼ばれています。
高血圧には、原因の明らかでない高血圧(血圧を上昇させる原因疾患が特定できない高血圧)である本態性高血圧(約90%)と二次性高血圧があります。
二次性高血圧には、腎血管性高血圧(動脈硬化などの原因で腎動脈の狭窄がおこり腎血流が低下することが原因)や原発性アルドステロン症(副腎のホルモン異常分泌)などがあります。血液検査で異常があれば超音波検査(腹部エコー)を施行します。
高血圧と診断された方や、血圧が高いため治療が必要と診断された方は、たとえ症状を感じなくても、動脈硬化やその他の合併症を予防するために、血圧を目標の範囲内に調節し続けることがとても大切です。
血圧の治療は、リスクの程度に応じて治療計画を立ててすすめていきます。治療は、生活習慣の修正と、薬物療法を組み合わせて行います。
生活習慣の修正とは、肥満、塩分のとり過ぎ、運動不足、喫煙などの生活習慣を見直し、高血圧の重症度を進行させないためのものです。生活習慣の修正だけでは血圧が下がらない場合、薬物療法を併用します。
高血圧の基準値は定められていますが、患者さんの年齢やあわせ持っている病気によって、それぞれ降圧目標値は異なります。
降圧薬
一言で降圧薬(血圧の薬)と言っても非常に多くの種類があります。
効果別に分けても、
カルシウム拮抗剤・β遮断剤・α遮断剤・アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)・アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)・利尿剤など、
またそれらを混ぜ合わせたものなど、本当に様々です。
その中から、一人一人に一番あったものを選択することが大変重要です。
年齢、生活習慣、性格、なども薬を決める上で重要ですが、一番大切なのは合併している病気があるかどうかです。
腎臓の機能、肝臓の機能で使える薬・使えない薬が出てきます。
心臓病はもちろんのこと、糖尿病や脂質異常症、脳梗塞なども重要です。
心臓病を患っている方は、心臓を保護するためあるいは血管を拡げるため、脈を安定させるためなど、高血圧がなくても血圧の薬を飲んでいただくことがあります。
薬を飲んでからの状況や、この薬を使っている理由など、不明な点や知りたい点がございましたら遠慮なく御相談ください。